守山菜穂子 | Mint Days

ブランドコンサルタント 守山菜穂子のブログです。

あなたは、何を信じますか? 誰でも情報発信する時代の「新常識」

私は2000〜2010年にかけて、
出版社の広告局に勤務していました。

 

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写真は、日本雑誌広告協会が発行する、掲載基準が書かれた冊子(1998年度版)

 

そこでは主に、ファッション雑誌や情報誌の
タイアップ広告(記事風広告)を作る業務を担当。
10年間で約1000社近い企業から、商品やサービスの説明を受け
PRページを作成して来ました。

また「純広告」、
業界用語で「純広(じゅんこう)」と呼ばれる、
企業側が作った雑誌原稿の審査もしていました。

審査とは何か。
「エステの広告、1週間で7kg減って…嘘ですよね?」
「魔法のペンダントをつけるだけで、1億円の宝くじがあたる、
 さすがに、それはないですよね?」
「この商品は、返品・クーリングオフはできますか?
 できるのであれば明記してください。」

こんな風に、広告原稿に、誇大すぎる表記や
問題表現がないかを厳しくチェックし、
企業側に訂正を求めるお願いを出す業務です。


さて、ここからが本題です。
その頃、仕事の現場で、よく耳にする噂がありました。

 

噂その1:

「とあるビタミンB剤」の、錠剤と液体を同時に飲むと
口内炎が早く治る。
錠剤と液体では、効くスピードが違うからで、
先に液体、後から錠剤が効いてきます。

夜、この両方を飲んで寝ると、すぐ効き始め、
朝までじっくり時間差で効いてくれる。
ビタミンBは余分に摂取しても、体外に排出されるので、
ボトル記載の用法容量とかは、あまり気にしなくて大丈夫。 

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噂その2:

ネイルが割れたり、爪がはがれそうで痛い時、
切り傷で皮膚がぱっくり割れている時などは
「とある瞬間接着剤」を1滴、垂らしておさえるとよい。

実は、このメーカーの、この材が、
名称を変えて業務用に販売され、
病院の外科手術で使われている。

つまり黄色のアレは、医療用に使われているものと同じなので、
爪が割れた時に使っても全く問題ないのです。

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噂その3:

やけどが治り、
使い続けると傷跡も残らなくなるクリームがある。
創業の研究者が、自分の怪我を治したくて作った。

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噂その4:

凍傷が治り、寒冷地でも凍らずなめらかな、
魔法のクリームがある。
探検家で飛行機のパイロットだった創業者が、
極度の乾燥や凍傷を治したくて作った。

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噂その5:

使い続けると確かに髪が生えてくる、あの医薬品。
使っている間、効果は確実に出る。
ただし、やめると途端に、
効果を感じられなくなる。
だからずっと使い続ける。
「やめないこと」こそが、この薬を効かせるテクニック。

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これらは、メーカーさんや、雑誌編集者たちの間では
割と有名な「噂」なのですが、
決して、記事にはなりません。


なぜか。
「薬事法」「医薬品医療機器法」※というものがあるからです。
※2014年末から「薬事法」は「医薬品医療機器法」と改称されました。


・医薬品は用法用量を正しく守って使う。

・化粧品の持つ効果効能は「肌を健やかに保つ」ことのみ。

・雑貨は、身体の内部や精神に影響を及ぼしてはならない。

・医者は化粧品を勧めてはならない。

・病院は、医療の効果効能を広告してはならない。

・食べ物やサプリメントを摂るだけで痩せることはない。

このような法律(ルール)があるのです。

テレビ、新聞、雑誌は、法律を遵守して
情報を発信しています。
とくにテレビ(放送)は国の認可事業なので、たいへんな神経を使って遵守していますね。

私がいた出版社も、業界を代表する存在として
法律をきちんと守りながら記事作りをしている会社でした。

中小の雑誌や、タブロイド新聞、
またネット専業会社は、
会社により、まま「とばし記事」も、あるように思います。


でもね。

あの女医さんが「本当に使っている」化粧品、とか
エディターたちの間で話題の「飲むと痩せるドリンク」とか。

知りたいですよね?


薬事法を気にせず、というか、知らずに、
誰もが、何でも好きなことを書けるなんて…

ブログって素晴らしい!!!

でも、魔法のペンダントで宝くじが当たるというのは
さすがに信じられないですよね?

ブログって、怖い!

 

さて。
本記事で、私がお伝えしたい結論としては、
「人の顔を見て、情報を信じましょう。」
ということ。

媒体名だけではない。
会社名でもない。

例えば長い付き合いの友達が言っていることは、
信じられるように。

誰でも発信できる時代だからこそ、
「人」を基準に情報を選ぶのが、
いま最善の方法なんだと思います。

 

企業が情報発信するときも、
人の「顔」をちゃんと出して発信して行きましょう。
社長さん、広報さん、その商品の責任者。
そういう方の「顔」が、とても大切な時代になっています。

御社は、誰かの「顔」の元で情報発信をしていますか?

 

私が発信した情報は、信じていただけそうですか。
もし信じられるとしたら、なぜですか?

 

出版社をやめたからこそ。
「メディアのあり方」「伝え方」を
ずっと考え続けています。

 

※写真はイメージです。

※本記事でご紹介した内容は、あくまで「昔、聞いた噂」であり、
 その効果効能・安全保障について
 守山菜穂子は一切の責任を負いません。

 

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