今日は、とあるファッションデザイナーさんの
ブランディングの打ち合わせでした。
住宅街の、長い坂道を上ると、
彼女の密やかで気持ちの良いアトリエがあります。
既 視 感 。
あれ、これどこかで見た風景だ。どこだろう。
考えたところ、それは、7月に観た映画の中でした。
映画「繕い裁つ人(つくろいたつひと)」。
坂と海と山に囲まれた、神戸の街を舞台に。
小さな「洋裁店」の店主が主人公の物語です。
中谷美紀さん演じる、洋裁店の二代目店主。
取引先から「頑固ジジイ」と呼ばれている(笑)
けれど、顧客からは熱烈に愛されている。
2〜3回着たら飽きて捨てられる、ファストファッション。
S,M,Lの「平均的な身体のサイズ」で作られた、既製品の服。
シーズンごとに大量に売るデパート。
みんな少しづつ違うけど、どこか似た感じの服装。
それに対して、
歳を経るごとの「体型の変化」に寄り添い、
少しずつお直しして着る服。
一生ずっと着つづける「覚悟のいる」服。
車いすの女性のためだけに作られた
オーダーメイドのウエディングドレス。
そこに服があるだけで「その人らしさ」が
匂い立って来るようなスタイル。
こんな風に劇的に、ファッションの「あり方」「価値観」が、
対比して描かれています。
映画館に、ファッションクリエイター伊藤佐智子さんによる
実物衣装も展示されていました。
映画を観る前にこの服を見た時には「変わった服だな」
としか思わなかったのですが、
鑑賞後に見たら…。
主人公の「店主」と、高校生の女の子の
「スタイル」「生き方」がそこに見えました。
「洋服が売れない時代」というけれど、
違う売り方があるんじゃないか。
S,M,Lの既製服の時代はもう終わったのではないか。
そんな風に思っています。
あと、私もこの映画を観て、
私も、自分の「スタイル」をより深く見直したい、と思いました。
そして、同時に、全身全霊で丁寧な仕事をしよう。
お客様のために真心をこめて対峙しよう。
と決意を新たにさせられました。
いい映画でした。
東京・目黒の「目黒シネマ」にて。
今時珍しい、2本立ての映画館です。
映画公式サイトはこちら(予告編が観られます)