守山菜穂子 | Mint Days

ブランドコンサルタント 守山菜穂子のブログです。

メガネ業界の進化に心からお礼を言いたい

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私は生まれつきの強乱視と、遠視があり
3歳からメガネをかけています。

数えてみれば今年、
メガネとの付き合い歴も40年になりました。

 

左目は裸眼で0.5ぐらい
右目が1.0ぐらいと、まあまあの「ガチャ目」でもあります。

遠視(えんし)と乱視(らんし)が重なっているので、
近くの小さいものが見えません。

メガネやコンタクトレンズがないと
手元の新聞や、小説などの文字は読めませんし
包丁やハサミの切り口も、ブレてよく見えません。
自分の顔もよく見えないので、メイクもできません。

 

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左:小学校4年生
右:中学1年(妹と)

 

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小学生の時は、自分のメガネが嫌で嫌で仕方がなかった。

この写真は、夏休みの自由研究で良い賞をいただいて
親が「記念写真を撮ろう〜!」って撮ってくれたものだったと
記憶していますが
この、嬉しそうじゃない顔ってば。

この頃、メガネが恥ずかしくて
写真を撮られるのも、人から顔を見られるのも大嫌いでした。

 

小学生の頃のメガネをかけている写真は
思春期の頃にかなり捨ててしまったので
今、手元にあまり残っていません。

残っているのも、上の写真のように横を向いていたり
メガネを外してうつむいているものばかり。

ろくな写真が残っていません。

 

思い起こせば、
1980年代のメガネのイメージはこんな感じでした。

・ザ・医療器具。

・おじさんと、おばあちゃんがかけるもの。

・メガネ屋さんに行っても、色バリエは
 黒ブチ・銀ブチ・べっこうブチの、ほぼ三択。
 女性用は赤フレームほぼ一択。

・だから、子どもでも銀ブチのメガネが普通。

・ケースは、黒か赤の、革の重いやつ。

・メガネ拭きは、オレンジ色の、薄い毛布みたいな、
 もっさりしたやつ。

・子どもがメガネをかけていると、通りすがりの大人から
 「あら……、かわいそうに」と言われる。

・メガネをかけているだけで
 「アラレちゃん」に似ていると言われる。 

   

 漫画・アニメは名作だったけど
 アラレちゃんに似てると言われるのは嫌だったなあ。
 学校の先生にも、守山さんはアラレちゃんみたいね
 って言われて、本当にイヤだったなあ。

 

さらに私は強遠視・乱視用というレアなレンズの
メガネをかけていたので

・メガネは一式で7万円ぐらいしていました。
 だから買い替えとかは基本なし。
 1本をしばらく大事に使う。

・凸レンズのため、レンズがすごく厚くて、
 メガネフレームからはみ出すのが普通。
 入らないので、使えるフレームもあまりない。選べない。

・メガネは特注で、レンズをメーカー在庫から探してもらわないと
 いけないので、
 注文してからできるまで1週間〜10日かかる。

・1980年代にテレビで大人気だったおじさんタレント
 「ケント・デリカット」と同じだねと言われる。
 ※Wikipediaより→凸レンズの丸眼鏡を着用(遠視)し、
 この眼鏡を前後に動かして目を大きく見せる芸が有名。

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・小学校の同級生に「ケント・デリカットやって」と言われる。
 やるもんか〜!

 

その後、高校入学と同時にコンタクトレンズにしたため
私はそこから25年間、
外ではコンタクトレンズ
メガネは夜寝る前と、朝の起きぬけだけ、家でひっそりと使う
というような生活をしています。

ところが2006年ごろからでしょうか
空前の「メガネブーム」なるものが到来。
「ZOFF」「JiNZ」「ALOOK」などのファストファッションならぬ
ファストメガネブランドの店舗が次々と誕生し、
「目が悪くない人も、ダテメガネをかける」
という、ファッションメガネブームが到来します。

「メガネ男子」「メガネ女子萌え」「眼鏡かわいい」
なる言葉も生まれました。

テレビに出ているタレントさんも
メガネをしているおしゃれな方が増えました。

ファッション雑誌で
メガネがコーディネート小物として、アクセントとして
取り入れられることも、一般的になりました。

 

私は子どもの頃に、メガネで傷ついた思いをした経験から
今でも
メガネをした自分の姿はちょっと恥ずかしい
と感じていて
この「ブーム」には乗ることができず
外でメガネをかけることもめったにありません。

 

さてそんな私に、
今週、ちょっとした事件が起きました。
手持ちのメガネが古くなって、家の中でぶつけたはずみに
ポッキリ折れてしまったのです……。

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やってもうた。

 

このメガネは、ポール・スミスのもので
もう7、8年は使っていたと思います。

あー、仕方ないなあ。高い出費となるけど
諦めてメガネ屋に行くか。
5万円ぐらいを覚悟の上で、新宿に向かいました。

遠視の+(プラス)度数が高いレンズは、店頭在庫がまずないので
できあがるまで、たぶん、1週間ぐらいかかるだろうし
その間、どうしようかな〜。困ったな。
家でスマホも見られないな。
と、思っていたんです。

 

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ところが。
新宿駅東口から近いカジュアルメガネ店
「ALOOK」さんに行ってみたところ
なんと、私の、+度数のかなり強い乱視のレンズが
店頭在庫にあると言うのです。

 

店長さん「仕上がりまで30分少々、お待ちいただけますか」

私「……!!!!!」

 

なんだかびっくりして、うまく言葉が出ませんでした。

しかも、強乱視・遠視のメガネが1本、
2枚のレンズ込みで5,000円。
なんだかびっくりして、思わずメガネを2つも購入してしまいました。

 

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ケースもかわいい。

 

そしてレンズが薄い。
折れてしまった7〜8年前のメガネと比べると、
触った感触で、2/3ぐらいの薄さになっています。

近視は凹レンズですが
私の遠視は凸レンズなので、中央が膨らんでいるのです。
そのレンズ全体が薄くなるって、すごい技術の結集だと思うんですよね。

 

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もう、この強遠視メガネを、近視のメガネと並べても
差がわからないだろうなあ。
細いフレームの内側にスリムなレンズが収まっています。

 

ここで感じたこと。

・今、自分がマイノリティだと感じている人へ。
 いつか、あなたがマイノリティでなくなる
 日が来るかもしれません。

・今、不便なカッコ悪い道具を、仕方なく使っている人へ。
 いつかそれが「おしゃれアイテム」になるかも。
 色バリエ、形バリエ、
 自由自在に選べて組み合わせることができる時代になるかも。

・今、高価な医療器具を使っている人へ。
 それが気軽に誰でもトライできる日が来るかも。

 

社会は確実に進化している
ということに、
40年も生きていると「自分比」で気づく瞬間が
たまにあるわけです。

 

メガネがないと文字通り「生きていけない」私。
もし大規模震災があったら、真っ先に手にするものは
メガネだと思います。
そのくらい大切なメガネ。

買いやすくなったなあ。
使いやすくなったなあ。

 

レンズを薄くするために、日夜、研究を続けているであろう
研究者のみなさんに、
そして、流通の改善について工夫を重ねているであろう
メガネ販売店のみなさんに
心からお礼を言いたい
と感じたできごとでした。

ALOOKさん、ありがとう。

www.alook.jp

 

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