守山菜穂子 | Mint Days

ブランドコンサルタント 守山菜穂子のブログです。

平面と立体の捉えかた|Beautiful 40’s -05

世の中には、
「平面でものを考える人」と、
「立体でものを考える人」がいる
と思う。 

私は美術大学に入学するために、
高校時代、美術予備校に通ってデッサンの勉強をしていたのですが、
その中で最も衝撃的だったのが、この図です。

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3つの丸は、ほぼ同じサイズですが
線が加わるだけで立体に見えます。
Illustration by Naoko Moriyama


線1本で、ものは立体になり
そこに光と陰影が発生すると、ものはさらに立体感を際立たせて
見えて来る。
世界は、立体でできている。

実際は逆で、立体を、平面に落とすために
デッサンしているんですけどね。

平面の紙の中に「あ、立体が再現できた」と思いました。

この感覚は、中学・高校の美術の時間には教わらないんです。
せめて美術でなくても、物理とかで教えてもいいような気もするけど。

 

とにかく、美術大学を受験するときに、まず一番最初に
「立体」の概念というか、存在感を教わって、
なんだかとてもびっくりした記憶があります。

これは、デッサンの基本であり、
すべての造形の基本になる考え方です。

 

大学を卒業して、広告会社に勤めたのですが
そこで、イベントの企画運営や、テレビCMのロケ撮影、
ラジオの生放送などに関わりました。

「時間」や「空間」に制限を与えながら
それらを自在にコントロールする。
人の視線を操り、人の動線を設計し、心の動きを把握する。
動画で表現する。光で目線をコントロールする。
こういうことを、仕事の現場で学びました。

 

出版社に転職してからは
あらゆる3次元(立体)、4次元(立体+時間)を
徹底的に紙(2次元)に落とす方法を身につけました。

出版人や執筆者、フォトグラファーの手にかかると、
どんな複雑な形状のもの、色、光、におい、
イベントや場所、時間の経過の全ても
きちんと平面の中に収まり、
決まったページ数の中に整列するのです。

それはそれは見事なもので、
あらゆることを過不足なく2次元にまとめて伝える
という手法の面白さを知ったのでした。

私たちは、情報を主に「紙」で得ていた世代なので
受け取り手側も、平面で世界の情報を掴む習慣が
ついているように思います。
これは、物事の捉え方の「クセ」です。

今の若い世代は、文章や記事を読むより
動画の方が早く全体像をつかめる
と感じているようです。

 

さて、そんな中。
現在、私の周りで「徹底的に、立体でものを考える」
という方を何人か知っています。

そのひとりが、ヘアメイクアップアーティスト。
例えば私の髪を切っていただいている方は
頭蓋骨の形状と、髪の毛の生え方(クセやつむじの位置など)、
また、人が話すときの顔の筋肉の動きなどを
正確に把握して、
それを踏まえながら、立体的に髪をカットしてい行きます。
その姿は、まるで彫刻家のよう。

それから、建築設計に携わる方々。
インテリアや空間のデザインは、空間の奥行きを
時間とともに魅せる技術です。

このドアを開けたら、向こうに何があるか。
ソファに座ったら、目線が変わり、違うものが見える。
光の位置、色の入る場所で、部屋の広さが違って見える。
こういう、時間と空間の設計をしているのです。

また、大きな建物の設計は、
自分の目線を超えた非常に大きなものを3次元で考えていくという
非常に高度な技術。
半世紀にわたる時間に耐えられるよう、長い時間も加味して
各種法律も網羅した上で、建物を設計するのは
特殊技能とも呼べるものだと感じます。

あとは、料理人。
皿に盛った料理は、正面からだけでなく、
上から横から、いろいろな角度で見られる可能性があります。

またそこに「食べ始めから、食べ終わりまで」という
時間の要素が加わり
におい、味も加わることで
「おいしさ」の情緒的な価値を4次元的に表現しています。

 

私は彼らの立体感覚にとても憧れていて、
もっと立体的にものを考えられる人になりたいなあ
と、いつも考えているのです。


池田美樹さんとの音声ブログ
「Beautiful 40's(ビューティフルフォーティーズ)」
第5回目が公開されました。

そこで「40代女性のメイクのコツ」について
話し始めたのですが、
私は結局、「骨格」と「筋肉」の話をしていました。

相方の池田美樹さんが、リップのトレンド色の話をするのを
横で聞いていて
「いや『メイクの話』って言ったら普通そうなるだろう、
みんなが期待することも、そこだろう」と感じていました。

それで、客観的に見て
これはたぶん私の考え方の根本的な部分なんだろう、と
改めて気づいた次第なのです。

2次元(平面)〜3次元(立体)〜4次元(時間)を
常に行き来して、ものを考えている。

収録中、せめて、何か化粧品のアイテム名を言わなきゃ!と思い
口にしたのが、「 リップ・プランパー(Lip Plumper)
というジャンルの商品。
これは、従来のリップグロスよりも、唇の立体感を際立たせ、
シワを目立たなくし、ぷるんとふっくらした唇に魅せる
という商品です(超おススメ)。

やっぱり「立体感」重視なんですね、私。

 

こういう、自分の中にある感覚を掴むことができるのは
人と深い話をする面白さだなあと思います。

抽象的な話かもしれないけど、
うまく伝わるといいな。

 

 

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