守山菜穂子 | Mint Days

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鍛金(たんきん)の魅力「生きていくかたち・死んでいくかたち 山本愛 展」

東京芸大の工芸科で鍛金(たんきん)を学んだ
作家・山本愛さんの個展を見て来ました。

愛さんと私は、高校時代、美大の受験予備校で同級生だった(らしい)。
一緒に、新宿御苑でお花見をしたこともある(らしい)。

「らしい」というのは、
私たちはお互いに記憶が定かでないのですが、
共通の友人がそう明言しているのです。
もう23,4年前の話ですからね。

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美しい!

「生きていくかたち・死んでいくかたち 山本愛 展」は
真っ白な壁に、真っ黒な「鉄」のライン。
このミニマルな感じ、すごく好みです。

鉄を熱し、叩いて形を作っていく「鍛金(たんきん)」。
伝統的な、金属工芸の技術が用いられています。
私たちには「鍛冶(かじ)」という言葉の方が、馴染みがあるかもしれません。

鍛金は、紀元前4,000年より古い時代に歴史を持つといわれ、
メソポタミア文明、古代エジプト文明にその歴史をみることができる。
日本へは、弥生時代に大陸より金属文化が伝わり、銅鏡や鉄剣、
甲冑などの製造に使用された。
現在では多種多様な技巧をみせ、工芸技術の1つとして確立された技法である。
-Wikipediaより

人類の歴史とともに、金属を叩いて加工する、という技術が
発展してきたんですね。

一見したところ、あたたかくて柔らかい、自然のライン。
でも触れると確かに、ズッシリと重くて冷たい、
私たちの知っているあの「鉄」。

そのギャップに惹かれました。

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人が入ると、スケール感がわかります。

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角度を変えると、また違って見えます。

 

もうひとつの、モビール作品。

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こちら側は、鉄製です。

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反対側のボールは、水引(みずひき)でできています。
黒一色ですが独特のツヤがあって綺麗。

お着物の女性が、作家の山本愛さん。
普段はおっとり、ニコニコとしているのに、
「鍛金」や「鉄」の話になると、実に情熱的に
その素晴らしさを語ってくれるのです。

こちらは単品のオブジェ。

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作家挨拶より:

本展示のテーマ「生きていくかたちと死んでいくかたち」のモチーフは
「菌環(きんりん、fairy ring)」というものです。

これは、地面に降りた菌が、菌糸(きんし)を放射状に伸ばし
成長していく現象です。
成長の先端に時々、姿を見せるのが、子実体(しじつたい)、
いわゆる「きのこ」です。
この、きのこが生える時に、そこに菌がいることわかる。
そして、菌は成長しながら、その中心は死んでいきます。

そこに確かに存在しているのに、普段は見えない…気づかない。
人の世にも、何かあった時に初めてわかる、ひとの優しさや繋がりがある。
5年前、私はそう強く感じました。
時間が経って、その繋がりがまた見え難くなって行くのも感じています。

そういう存在について、忘れないように、
考えるきっかけになりたいと思い、菌糸を作り続けています。

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 なんと、この優しい、うねうねっとしたカタチは
「菌糸」がモチーフだったんですね!
作家さんの考えることは本当に面白い。

「菌糸」と、「鉄」という、まったく別次元に生きている
というか、相反する特性を持つものを
作家の想像力で、ひとつにまとめあげてしまうという
この「宇宙」感。
これが、私がアートを愛する一番の理由です。

 

嬉しくなって、オブジェを1点、購入しました。 

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悩む間、7周ぐらい輪の周りを歩きました……。

どのカタチも魅力的でしたが、最終的に
優しい雫(しずく)のような形をしたコに決定。

家に来たら、どのように飾ろうかしら。
棚に置くだけでなく、壁に飾るのも面白そうです。

鉄は、扱いが難しいかな? と思いましたが、
「水に濡らさなければサビは出ないし、
普通に家の中に置いて使う分には
まったく問題ない」とのこと。

愛さんに、鍛金の技術、鉄の魅力をたくさん教えてもらいました。

 

現代の工業製品では、「鋳造(ちゅうぞう)」といって
加熱して溶かした金属を、型に流し込む技法が一般的。
できあがったものは「鋳物(いもの)」と呼ばれます。

進化し続ける3Dプリンタや、レーザーカッターの技術も
新しいものを生み出しているし、非常に面白い。

でも、時間をかけて少しづつ、金属を叩いて、延ばして、
ゆっくりと曲げた「手仕事」のカタチには
伝統工芸の、圧倒的な迫力がありました。

『生きていくかたち・死んでいくかたち』山本 愛 展
日時:2016年4月4日(月)〜4月9日(土)
   11:00〜19:00(最終日17:00まで)
場所:GALERIE SOL
   東京都中央区銀座1丁目5-2 西勢ビル6階
   (1階はスペイン料理屋さんです)
交通:銀座一丁目駅・京橋駅からそれぞれ徒歩3分ぐらい。
   有楽町駅、宝町駅、銀座駅から徒歩5分ぐらいです。
電話:03-6228-6050

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