守山菜穂子 | Mint Days

ブランドコンサルタント 守山菜穂子のブログです。

雑誌「Co-Co Life☆女子部」最後の撮影<守山のひとりごと編>

障がいや難病の女性のためのフリーペーパー
「Co-Co Life(ココライフ)☆女子部」が、
創刊10周年を迎えました。

 

▼雑誌「Co-Co Life☆女子部」最後の撮影
 <写真たっぷり編> はこちら

 

2022年5月31日、
記念となる、10周年記念号(vol.40)が発行となりました。

そして同日、発行元のNPO施無畏(せむい)から発表 となりましたが、
この号をもって、雑誌を休刊することとなりました。

▼休刊に関する発表文はこちら

co-co.ne.jp

 

読者サポーターのみなさん、読者モデルのみなさんには
10年間、ご愛読をいただき、ありがとうございました。

撮影、取材、イベント……
私も、数えきれないぐらい現場に立ちましたが
楽しくて、笑っていて、みんなかわいくて。
いつも必ず、新しい発見がある現場でした。

 

また支援者、協賛企業の皆様、
編集や撮影にボランティアや超・薄謝で参加していただいた
プロのクリエイターの皆様、
取材していただいたメディアの皆様。
多大なご支援やご協力を賜り、ありがとうございました。

みなさまの「大人の、本気の応援」により
この雑誌の発行が続けて来られたのは間違いありません。

 

▼写真/2018年の編集部の様子

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/n/naoko-moriyama/20180622/20180622083514.jpg

最後なので、
「Co-Co Life☆女子部」と私・守山菜穂子の歴史を
書いてみたいと思います。

(ちょっと長い記事になります)

 

私は2012年の冬から、「Co-Co Life☆女子部」の活動に参加しました。

最初は、障がいや難病の人たちが生きる世界や
そこでの振る舞い方を知りたく、
またそのジャンルの情報が欲しくて、勉強したくて
という気持ちでした。

しかしすぐに、ユニークな経験を持つ方々にお会いできることや、
かつてないビジュアルを作れるモデルさんたちに
心からクリエイティブな興味を惹かれる方向に変わりました。

年4回の雑誌の発行にボランティア編集者として関わり
9年半。

2015年からは、発行元NPOの理事として
団体運営、人材育成にも関わり、
2017年からは団体の副理事長を拝命。

 

2016年4月の「障害者差別解消法」の施行に合わせ、
東京都が主催するシンポジウムで基調講演をさせていただいたのは
貴重な経験でした。
東京都から指名で登壇依頼を頂いたことは、
「このテーマを担う人物」として公的に認められたようで、
本当に誇らしい気持ちでした。

▼「障害者差別解消法」レポート記事はこちら

co-co.ne.jp

 

2017年、障がい者タレント専門の芸能プロダクションの
垂直立ち上げは、意義ある事業だったと感じています。

2020年に開催予定(2021年実施)の東京パラリンピックや
世界のメディア業界が意識する、ダイバーシティの流れに乗って
この事業は、追い風が吹きまくり、
憧れの視線を集め、話題になりました。

ただ、光が強い分、正直なところ、混乱や闇もたくさんありました。

要するに、目立ち過ぎてしまったのだと思います。
禍福は糾(あざな)える縄の如し。

この芸能プロは、2020年、別団体に事業を譲渡することになりました。

 

また、編集部では2018年ごろから
雑誌名の「女子部」や、
女性だけを特別に扱って、中心に取材するというコンセプトに
実は、すごく悩んでいました。

ダイバーシティを推進しているメディアなのに、
ポリティカルコレクトネス(人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を
含まない、中立的な表現や用語を用いること)
ができていない。

自己矛盾を抱えながら、毎回スタッフで悩み、
ギリギリの表現を探っていました。

「女子部」のロゴを「Joshibu」に変更して、
一見、何が書いてあるかわからないようにしてみるという
逆ブランディングのようなこともしていました。笑

▼新ロゴを発表した「読者ファンミーティング」のレポート記事はこちら

co-co.ne.jp

 

2020年からのコロナ禍では、
障がいや難病、基礎疾患のある読者と
会うことが全く難しくなってしまいました。
定期的に開催していたイベントも、撮影も全て中止。

しかし、オンラインでの取材は、
もともと外出や通勤に苦労していた人たちにとって、
非常に効率が良いものだったようです。

「通勤しなくて働ける時代が来た」「私たちの時代が来たね」
なんていう声も聞きました。
面白いです。

 

2021〜2022年は、創刊10周年記念YEARとして、
毎号、10年間の振り返り企画などを実施。
編集長・副編集長の2名は、全国5ヶ所のスナップツアーにも繰り出しました。

本来なら10周年記念イベントなど、大きくやりたかったところですが
読者の体調への影響を考慮して、これは実施せず。

 

私は、創刊10周年記念号 の表紙と、巻頭企画を
担当させていただきました。
素敵なモデルさんたちに集まっていただき、
アパレルブランドの協力により、最新の洋服、素敵な会場を
お借りすることができました。

また、記事で10年間の歴史を振り返り。
大切な人たちにお祝いコメントをいただき。

もうこれで思い残すことはない、と思えるぐらい、やりきりました!
最後のページを、綺麗に作ることができました。
よかった。ホッとしました。

▼10周年記念号のバックステージ写真はこちら

naoko-moriyama.hatenablog.jp

 

この9年半の活動の中で、
団体理事としての役目を終えた、やり切ったなあと感じ、
この度、NPO施無畏の理事を退任することに致しました。

雑誌を休刊したのちも、NPOとしての活動は続くので、
私は、いちプロボノとして、引き続きご協力したく思います。
NPOの新しい方針・活動にも、期待しています。

 

▼2012年ごろの私。
どういう時代だったかというと、まだガラケーです。
これは、たぶん、生まれて初めての自撮りです。
長い年月を一緒に感じてください。

2012年にボランティアを始めた時のことを、
しみじみと思い出します。
私はこの時、普通の会社員で、
使える時間は平日の夜と、土日のみ。

初めての本格的なボランティア活動でしたが
友人のアドバイスもあり
「長く活動を続けよう」「簡単にやめない」と
決めて、始めました。

なんとなく、始めるのは簡単で、
続けることの方が難しいだろう
という読みはあったのです。

あれこれ始めて、どんどんやめていくのは、
節操ないな
というような気持ちもありました。

 

「長く」。
でもそれが9年半もの長さになるとは、
さすがに想像していませんでした。

37歳から、47歳まで。
仕事以外の時間の多くを、この活動に使って来ました。
人から趣味を聞かれると
「ボランティアです」「趣味はココライフです」。
そんなふうに答えていた時もありました。

 

2013年、38歳の時、
私は会社員をやめて独立し、
フリーランス、その後、会社経営となったのですが
変わらずボランティアを続けることにしました。

フリーランス、コンサルタントという働き方をしている中で
ボランティアに時間を使うというのは、
売上を減らすことに直結します。

それでも続けてこられたのは、
この活動が、将来の自分のための投資になる、学びになる
という感覚があったからだと思います。

 

今、思えば
「自分で、始める」「自分で、続ける」という
意志を持って活動に参加したのは、
このボランティアが初めてだったかもしれません。

学生の頃の習い事とか、部活やサークルは
親の意思とか、なんとなく周りがやってるから〜
ということで始めて、
学生時代の終了と共に、自然に終わります。

会社員になってからは、
業務、仕事がどんどん割り振られて、会社から与えられます。
もちろん、自分なりの工夫はするのですが
基本的には、目の前のことを一生懸命やっていた感じ。

でも、ボランティアをきっかけに、私は
「自分で、やることを選ぶ」
「自分で、続けると決める」
といったような態度の持ち方を、覚えたのでした。

 

▼2015年の撮影風景

▼2016年の撮影風景(2点とも)

 

またもうひとつ、私が学んだことがあります。

「Co-Co Life☆女子部」の読者たちは、障がいや難病の当事者たち。

だから

「一度、死にかけた」
「死の縁をさまよった経験がある」
「今後、何歳まで、あと何年生きられるかわからない」

そんな、壮絶な話題がよく出てきます。

戦争もない現代の日本では、
これは正直、あまりない体験だと思います。

 

10代、20代の若い女性たちと
おしゃれして、ヘアメイクして、かわいくスマイルして、撮影!
その後に、「足を切断したのは1年前です」
というような話を聞かせていただく。

最初は、彼女たちの若さや美しさと
あまりにも身近すぎる、死や病の話題のギャップに
背筋が凍るような思いをしました。

でも、それが
毎号、毎号、
撮影や取材のたびに続きます。

 

年齢に関係なく、生と死や、
身体のあり方、健康や、薬などの話題に
敏感な読者たち。

彼女たちと日常的に会話させていただくことで
私自身も

「誰でも、いつ死ぬかわからないんだ」
「私も、いつか死ぬ」

そして、
「今日を精一杯、悔いがないように生きよう」

という思いで毎回いっぱいになります。

 

人間は致死率100%ですから。
というのは誰の言葉かわかりませんが、
いつからか心の引き出しにずっと入れている言葉です。

 

▼2017年のイベント風景(2点とも)


あと、私が好きだったのは
彼女たちの持つ不思議な体型や、独特の動き、振る舞いです。

珍しい骨の形とか、身体の形。
曲がっていたり、小さかったり、欠損していたり。
大きな傷跡。
白く濁っている目の色。
手話という素早い手の動きで会話をするさま。
車いすから、レストランの椅子に、サッと乗り移る動作。

そういうものを、いつも
へえ〜面白いなあ、不思議だなあ、
美しいなあと思っていました。

時々、身体の部位をさわっていいですか?とか、
写真に撮らせてもらえますか、と本人に聞いて
そこの感触を確かめたり、
写真に残させてもらえたのも、私はすごく嬉しかったです。

 

私は美術大学の出身なのですが
そこにはいろんな人がいて、いつも、誰も見たことがない作品を
作り出していました。

ちんまりと作品が飾られている美術館よりも
もっとナマの
絵の具が作品に変わる瞬間、
作品に動きや魂が吹き込まれる場所。
それが、とてもダイナミックで、好きでした。

面白い色だなあ。変わった形だなあ。
不思議な動きだなあ。
めちゃくちゃやってる人だな。とんがってる人だな。
どうやってこんな素材を入手したんだ。
なんだこれは!?見たことがない。
こだわり半端ないな。異常に時間かけてるぞ。

そんな毎日。

さわってみていい?
近づいてよく見てみる。
何これ、どういう仕組み!?
といった会話も普通でした。

知らないもの、珍しいものをよく見せてもらう。
さわって、わかる。
それも普通でした。

そこにいる全員が、
日本の社会標準からすると「変わってる人」なので
場全体に「変わっている」という概念は無くなります。

今思えば、これを、ダイバーシティと呼ぶのでしょう。

私は、ダイバーシティの概念を体感的に知っていました。

 

「Co-Co Life☆女子部」の撮影現場は、
美術大学と似た感覚がありました。

あ、撮影現場は、どこでも大抵、
アクシデントとか、いい意味の裏切りがあって、
とってもクリエイティブです。

それは当然なのですが、
「Co-Co Life☆女子部」の撮影・取材現場は、
特にすごくて、
毎回、美大の文化祭みたいな感じでした。最高でした。

 

あー面白かった。
見たことがないものが撮れた。
聞いたことがない話が聞けた。すごかった。
と言いながら、帰るのです。

そこから、その面白さやすごさ、素敵さを、
みんなに伝わるよう、時間をかけて編集する。

作っていて、ほんと楽しかったです。
これが私が9年半も続けていられた、一番の理由でした。

▼2019年イベントの様子

☑️ 自分で、始めることを選ぶ。

☑️ 自分で、続けることを決める。

☑️ いつ死ぬか、いつ動けなくなるか、わからない。

☑️ だから、今日を精一杯、悔いがないように生きる。

☑️ 誰も見たことがないものを、作る。

☑️ 個性サイコー。大好き。

☑️ 珍しい生き方、尊敬。

 

これが私が、「Co-Co Life☆女子部」から教わったことです。
なんと、書き出してみたら
今の私の生き方、そのもののようでした。

貴重な経験を、本当にありがとうございました。

 

長いブログをお読みいただいた、あなたにも
ありがとうございました!

 

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