守山菜穂子 | Mint Days

ブランドコンサルタント 守山菜穂子のブログです。

水彩絵の具と、植物画

植物画(ボタニカル・アート)を習い始めて
1年が経ちました。

きっかけは、コロナ禍。
どこにも出かけず、オンラインミーティング続きで
パソコンとスマホの液晶画面だけを見続ける日々に
疲れてしまったこと。

なにか、身体を使った遊びをしたくなりました。

 

絵の具や、鉛筆って
いいにおいがするんです。

それに、紙のサラサラした温かな手触り。

水と植物の、ひんやりとした感触。

筆や、刷毛(はけ)、羽ぼうきの
フサフサ、ファサファサした気持ちよさ。

 

触れて、においをかいで、
ペタペタ、ピタピタ、ぴちゃぴちゃ。

それが家の中でできると、楽しいかな〜
気持ちいかな〜と思って
水彩画を始めました。

ところで私は、美術大学の出身なので
学生時代にデッサンをそれなりにやりました。
水彩絵の具も扱った経験があります。

ただ、10代のときは、水彩絵の具は、
本当に苦手でした。

 

絵の具が乾くのを待てなくて、
焦って上から色を足したり、線を描いたりするものだから
すぐ、画面を濁らせてしまう。

あとは、ガサツな動きをして
水のバケツから、水が紙にテンテンと飛び散る。

絵の具を、手や、服の袖につけてしまい、
画面の大事なところに、指紋のスタンプを押してしまうことも。

 

しまいには、バケツを盛大にひっくり返して
終了……。
もうなんか、10代の頃は、常時そんな感じでした。

 

水彩を扱うのがうまい、繊細な友人の絵を見て
うらやましいなあ、キレイだなあ
と思いながらも、私はパス。

学生時代はずっと、速乾性のある油性のマーカー、コピックで
絵を描いていました。

(これはこれで、当時の、私のスピード感に合っていて。
 色彩の鮮やかさと、大胆に描けるペンの太さ、
 またプロダクトとしてのカチッとした感触も
 大好きで使っていました。今でも大好きな画材です)

 

それで、
ふと、40代後半になった今

今なら、水彩絵の具をじっくり扱えるかな。
ゆっくり、待てるかもしれないな。

そう思いました。

もう、バケツはひっくり返さない気がする。

30年越しで、憧れの水彩絵の具に
ちゃんと向き合うことに挑戦してみよう。

 

30年ぶり。
例えば、「30年ぶりに」自転車に乗るとか、泳ぐ感覚って
みなさんに伝わりますでしょうか?

できるはず。だけど、怖い。

乗れるけど、足元おぼつかない。

泳げるけど、長く泳げるかは自信ない。

 

30年ぶりに向き合う絵の具は、
私にとって、そんな感じなのです。

 

2021年の夏から、
プロの先生について月2回、習っています。

紙、鉛筆、消しゴム、
絵の具、水のバケツ、筆。

そして、フレッシュなモチーフ。

 

あー久しぶり。

手がヘタすぎる。手が頭についてこない。
理想と現実が全然ちがう。思うような線が描けない。

これは、例えるならば
子どもの運動会に出場して、久しぶりに全力疾走して
足が絡まっちゃう親御さんのような感じですね。

セルフイメージと、肉体の動きが全く合ってない。

 

でもそれが、もーほんとに楽しい。

あー悔しい。

あー楽しい。

「斑入りの植物のコーディネート」

キレイな葉っぱを並べて描きました。
葉っぱたちが踊るように動くように描きました。

葉っぱ、美しいなあ。
楽しいなあ。

 

 

デッサンして、構造をつかみ、

 

全体に色を塗ります。

 

 

途中で、どんぐりの生えている向きが
おかしいことに気づき、修正。


水彩絵の具で形を描き込んで、
「シラカシ」仕上がりました。

どんぐりは、描くの楽しかったー!
気分よく描けました。
これは、わりとお気に入りです。

秋になると、どこでも地面に転がっている、どんぐり。
高いところにある葉っぱの形については
初めて認識しました。

とんがっていて、カッコいい。

 

 

「チャイニーズホーリー」

トゲトゲの硬い葉っぱと、
赤くてぷりっとした実を描きたくて、
手元にある枝(現物)としばし向き合う。

 

描き終わって、離れて見たら、

うーむ、
プラスチックの造花のようになってしまった……。

 

学生の頃から、柔らかいものを描くのがあまり得意ではなく
硬いものを描くのが得意でした。
工業製品、ガラス、金属の質感とか、得意だったなあ。

30年経ってもそういう性質って出てしまうものなのか。

植物らしい、しなやかさが描けるようになりたいなあ。

 

でも先生に
「硬いものをカッコ良く描けるのも、個性ですよ〜」
なんて言ってもらえて、嬉しくなりました。

褒めるのが上手な先生につくことができると
習い事が長続きしますよね。

 

個性が素敵だよ。

いつもブランディングの仕事では
私が生徒さんにそういう風に言っているのに。

自信がなくなると、急に我を忘れて
「みんな」とか「普通」を求めてしまうんだと
しみじみ感じます。

絵に「普通」なんてないのにね。

 

「ニラ」

中華料理によく入っている、野菜のニラです。
可憐な花が咲くと知りました。

花びらは透けるような薄さ。

葉っぱもヒラヒラしていて、薄くて、
ぷるんぷるんと、しなやかに動く。

こういう繊細な、細いタイプの植物は
全く描いた経験がないので、緊張します。

なんとか描ききりましたが、
自分としては、全然ダメ。ヘタ。悔しい。

 

 

「スプレーマム」

実際は直径2cmぐらいの小さな菊の花を、
実寸15cmぐらいに拡大して描きました。

苦手な、薄いフリルのような花びらが
さらに、めちゃくちゃたくさん重なっている花。

この面倒くささに耐えられるかどうか、
自分を試す感じさえします。

 

菊全体の丸い形を出しながらも、1枚1枚の花びらの形も
出すことを考えながら描きました。

今年はこの辺で許してやるか。
来年の菊のシーズンに、もっと綺麗に描きたい。

 

今月描いたのは「ドクダミ」。

ドクダミって、街中のあちこちに生えているけど
なんか、陰気な感じがしていて
今まで好きではありませんでした。

でも絵のモチーフとして、時間をかけて向き合ったら
生命力があってカッコいい植物だなと
捉え方が変わりました。

独特のツンとした香りがあり、
ハーブ、生薬として使われ
お茶として飲むこともできる薬草です。

香りも描きたい。


楽しく描けました。
水彩の良さを、もっと引き出せる気がする。もっと描こう。

 

私の水彩画の先生はこの方
小林英成先生です。

絵の技術はもちろん、植物の理論、歴史、
そして書くことの楽しさも教えていただいています。

参考書として先生の著書
「はじめてのボタニカルアート」日本文芸社刊

 

今のところ、まだバケツはひっくり返していません。

画用紙が水を吸うところをよく見ていたら
あれっ、意外と絵の具は、
すぐに乾いていることがわかりました。

 

19歳の私、
一体、何をそんなに急いでいたんだろうなあ。

 

私が習っている講座はこちら
目黒学園カルチャースクール
ボタニカルアート(自然史植物画)
小林英成先生

www.megurogakuen.co.jp

 

書籍はAmazonで購入できます。
丁寧なHOW TOで、本を読むだけでも
描き始めることができます。

 

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