守山菜穂子 | Mint Days

ブランドコンサルタント 守山菜穂子のブログです。

心が傷ついた時に読む本、5選

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Photo/Naoko Moriyama

つらいことや、悲しいこと、悔しいことがあって
信じられないほど傷ついたとき
最初は呆然(ぼうぜん)としていて、
食欲もなく、夜も寝られず
何もやる気がなくなってしまいます。

そこから何日か経って
「あれ、今日は久しぶりによく寝られたな」
という朝が来たら、
「ああ、お腹すいたなあ」とか
「しみじみと美味しいものが食べたいな」
と思う瞬間が来たら、
私はまず最初に「身体」を満たしてあげます。

お風呂でゆっくり汗をかく。
白湯やハーブティを飲む。
温かいごはんを食べる。
湯たんぽを抱えて、暖かいベッドでゴロゴロする。

それから……、本を読みます。
先人の中に、膨大(ぼうだい)な歴史の言葉の中に、
私と同じような傷つく思いをした人がきっといる。

自分の痛みに共感して欲しい。

この傷を癒す方法を教えて欲しい。

そして、ここから逃げ出す力と勇気が欲しいから。

 

私が今までの人生でいろいろと傷ついて来た中で
読んで救われた、
大切な本たちを紹介します。

 

1, 大切な人の死が近づいている
というあなたに

 「死ぬ瞬間ー死とその過程について」
キューブラー・ロス 著
中央公論新社刊

 

この本は、父が末期がんを宣告された頃、
たいへん混乱していた家族と私に、
会社の産業医であった精神科の先生が勧めてくれた本です。

著者のキューブラー・ロスは、スイス出身の精神科医。
死に近づく人が、どのような気持ちの変化を経ていくのか
統計を経て、論理的に、淡々と解説されています。 


その時の私は、苦しんでいる父が放つ
「もう終わりだ、いつでも死んでいい」という言葉や
「まだ死にたくない、思い残したことがある」という昨日と真逆の言葉に
胸が締め付けられ、翻弄(ほんろう)されていました。

ですが、この本を読んだ後は、
そのコロコロ変わる心境が、よく理解でき、
昨日と真逆の言葉を驚かずに
父の言葉をしっかり「受容」することができました。

私はこの本を読んでよかった。
最終的に、後悔のない父との最期を
迎えることができたと思っています。


例えば「今日、死にたくなってしまった」というあなた。
自分がなぜそのようなことを考えたのか
理由を知りたければ、この本は
客観的な助けになってくれると思います。

医療、看護、介護、福祉、心理、教育などに関わる人には
必携の本です。
きっと、学校の授業などでも紹介されていることでしょう。

また、
人の重大な決断の瞬間に立ち会う仕事をしている人や
仲間の迷いを受け入れ、人生を受け止めることをしている
という人にも、オススメの本です。

私はコンサルタントとして
エグゼクティブやクリエイター向けのコーチングも仕事にしていますが、
ビジネスにもおおいに役立っています。

 

なお、この本は、文庫本ですが、しっかりと文字が詰まっていて
470ページ(本の厚さ1.5cm)。
なかなかの分量があります。
でも、難しい言葉はありません。落ち着いた内容です。
気になる言葉を拾いながら、ゆっくり読んでくださいね。

私は当時、泣きながら読んだのでしょう、
今、手元にある文庫本を見たら、ところどころに濡れた跡があり
紙がシワシワでした。

 


2, なんで私ばかりが攻撃されるの?
あの人、一体なんなのよ?
と思っている人に

 「身近な人の『攻撃』がスーッとなくなる本」
水島広子 著
大和出版刊

 

身近な人に、理由もわからず激しい意地悪(いじわる)をされ
一生懸命かわしたり、あしらったりしても
なぜかずっと続くので、疲労困憊(こんぱい)の日々。

「なんで、私ばかりがこんな目に合うの!?」
「あの人、なんなの? マジでおかしいよ!」

そう思っていた時、この本に出会いました。


この本の著者、水島先生も精神科医です。
人から攻撃された時、
具体的にどうしたら素早く逃げられるか
なんと答えたら良いのかなど
具体的な「戦い方」「かわし方」の戦術がたくさん載っています。

 

また、そもそも、なぜ攻撃されるのか。
「人から攻撃されない自分」になるにはどうしたら良いか。
攻撃するような相手と、どのように付き合うべきか等、
生活をラクにするような生き方の「戦略」も
紹介されています。

 

私は読後、ここに書かれていることを心がけたおかげで
今では、人から攻撃されることは
ほとんどなくなりました。

まれに攻撃されたとしても
その理由や意味がわかるし、
攻撃してくる相手のことを
「何かを恐れているんだな、気の毒だなあ」と
冷静に捉えられるようになりました。

一生使えるテクニックが満載なのです。


この本は、字が大きめで、
チャーミングなイラストや図版がたくさん載っているので、
疲れてしんどい時にも比較的サクっと読めます。
困っている人に、即効性がある良書です。

 


3,不安やイライラが
次から次へと沸き起こって来て

絶え間なくツラい!あなたに

 「考えない練習」
小池龍之介 著
小学館刊

焦ったり、イライラしたり、悲しくなるという感情は
なんと、脳への「快感」を与えるそうですよ。

今、悲しくて仕方がないのに、
それが実は、自分の脳への「快感」となって
もっともっと「悲しくなりたく」なってしまう。

イライラしているのに、それも脳への快感となっているから
さらにイライラしてしまう。


この本でそれを知った時、
「ええっ、なにそれ、脳ってひどい」と思いました。

自分って、なんて自分自身に翻弄されている生き物なんだろう。
びっくりです。


しかし、脳の仕組みが一旦わかってしまえば
落ち着いて対処できるようになります。

この本には、自分がこれ以上
「焦らない」「イライラしない」「どんどん悲しくならない」ために、
どうしたら良いか、どう過ごすと良いかの
回答が載っています。


著者は1978年生まれの僧侶、小池龍之介さん。
現在は、神奈川県鎌倉市「月読寺」の住職をされています。
この方の公式サイトは、良い意味で「お坊さんらしさ」を
大きく裏切る、かわいいデザインです。→こちら


2010年の発売当初、私は本書の版元に在籍していたのですが
「若きイケメン僧侶(そうりょ)」ということで
社内でも(主に女性誌の編集部まわりで)
大変な話題になりました。

記憶によると、確か単行本が発売後1年で30万部の大ヒット、
その年にiPhoneアプリ版を発行(現在はサービス終了)、
2年後に文庫版とKindle版を同時発売しています。

Kindle版については、私がまさに営業を担当していました。
紙の本、電子版ともに、大変よく売れましたが
単に話題になったということではなく、
本質的な素晴らしい内容です。
ロングセラーです。

 


4, 大切なパートナーと
心がすれ違ってしまい
傷ついている人に

 「ベスト・パートナーになるために
―男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール
男は火星(マース)から、女は金星(ヴィーナス)からやってきた」
ジョン グレイ著、大島 渚 訳
三笠書房・知的生きかた文庫 

 

原書は25年前、アメリカで1992年に発売されたとか。
その後、各国語に翻訳され、世界で累計1,200万部を突破。

日本語版は、映画監督の大島渚さんによって翻訳され
現在も、日本のAmazon「恋愛心理部門」では
常時1位に君臨しています。
大変なロングセラーです。


この本は、目次を見ていきましょう。

1章 男と女は違う星からやってきた
  …男は"受容"を、女は"共感"を求めている

2章 「男は単純で、女は複雑」は本当か
  …男は"調停屋"に、女は"教育委員長"になりたがる

3章 男は分析して満足する、女は話してスッキリする
  …言葉が愛を生む、憎しみを生む

4章 相手の気持ちを上手に"翻訳"してますか?
  …男と女がうまくいく"究極のルール"

5章 男の恋愛観、女の結婚観
  …この"小さな気づかい"が、彼を男らしい気分にする

6章 男に自信をつける"女のひと言、会話の仕方"
  …"男の優しさ"を上手に引き出すテクニック

7章 "二人の愛"をさらに深める心理法則
  …男と女の"愛情のパラドックス" 

どんな内容か一目瞭然ですね!
著者のジョン・グレイは心理学博士です。


類似のWEB記事や書籍、雑誌記事などを
たくさん見かけますが
基本的には、この本から出典・引用されていることが
多いように思います。

つまり、恋愛心理学の「原典」ということです。


恋愛に、今、深く悩んでいたり
関係がこじれて疲れていたり
2人でより良い毎日を送りたいという人には
一生のバイブルとなることでしょう。


「なぜかパートナーと長続きしない」という方がいたら
課題図書として全力オススメします。
きっと素敵なパートナーができますよ。


「この本、若い頃に読んだよ!」という方も
きっといらっしゃいますよね?
今、新たな気持ちで読み直してみると
パートナーとの関係が「輝き始める」かもしれません。

 

私はこの本を
「多様性を受け入れる」心構えの本だと思っています。

例えば、男、女という単純分類でないところで
恋愛をしている方もいると思いますが
「自分と違う考え方の人がいる」ことを、素早く理解できます。

「上司と部下」「取引先や商談相手」など
ビジネスの関係をより良く構築するヒントも
たくさん見つけられるでしょう。

「同性の友人同士」だって、分かり合えない時があります。
「ああ、あの人、実はこれが言いたかったんだな」と
深く理解することができるように思います。

 


5, しばらく、
とことん、沈んだまま

ドロドロしていたいあなたに 


ブッダ
全14巻
手塚 治虫著

kindle版コミックス(手塚プロダクション刊)

ブッダ 1

ブッダ 1

Amazon

 

単行本14巻まとめ買い(潮出版刊)

 

1970年代に連載されていたという本作は
日本漫画の父、手塚治虫(てづか・おさむ)によるコミックス。
マンガです。

「お釈迦さま」「仏さま」「ゴータマ・シッダールタ」「ブッダ」
などと様々な名前で呼ばれ親しまれる、
有名なお坊さまの生涯を描いた、壮大な物語です。
(上の呼び名、全て同一人物ですよ)


あ、偶然にもわたくし、このブログ記事で
仏教系の本を2冊もご紹介しておりますが、
私は特定の宗教を支持していません。

ただ、キリスト教、仏教、チベット仏教、神道など
宗教関連の本は、わりと幅広く読んでいます。

哲学者、人文学者、企業の名経営者と呼ばれる人なども含め
人生を一生懸命に深く考えている人たちの言葉は
みな近いところにあると思っているからです。

さて、この作品はですね、もうお釈迦様に
いろいろな苦難が次々と起こります。
小学校高学年でも読める程度ではありますが
バイオレンスや、グロも、やや入っています。

人生に、なんで、こんな苦しいことが起こるのだろう。
なぜ人は、苦しい方を選ぶんだろう。
ああ、もう、本当に、人生とはなんなのだろう。

こんなことを、ぶつぶつと口の中でつぶやきながら
一気に読んだことを覚えています。


それでも、お釈迦様は、一筋の春風のように
静かに穏やかなのです。
ですので、読んでいて、ちゃんと救われます。

全14巻を読み終わった頃、
あなたの人生にも、静かな春風が吹き込むかもしれません。

 

さて、今回はとても長いブログになってしまいました。

心の傷に共感してくれそうな本はありましたか。
元気、出してくださいね。

東京では、桜満開の週末になりそうです。

 

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